「ちょっと聞いてください」
突然、取引先の女性に声を掛けられました。
これまですれ違いざまに挨拶するくらいで、特にお話をしたことはありません。
なんの用だろう?と訝しみつつ振り向きました。
「はい」
「私、怖いですか?」
誰に対しても物おじせず、忌憚ない意見をいえる女性という印象でしたが、ホントに物おじしないようです。
こちらが驚いてしまいます。
「突然ですね(笑)。なにかあったんですか?」
「○○さん、知ってますよね」
「はい。ご挨拶する程度ですけど」
「○○さんが、私と一緒に仕事したくないって」
「え、直接言われたんですか?」
「いえ、シフト担当の△△さんから聞きました」
△△さん、当の本人にそのまま伝えたようです。
社内の空気が悪くならないかと心配です。
「なにがあったんです?」
「○○さんに仕事を教えてたんです」
「はい」
「○○さん、仕事が遅いんですよ」
「でもこの仕事されて、まだ間もないですよね?それなら…」
「で、もっと早く仕事を覚えてほしくて、色々注意したんです」
「そうなんですね」
「そしたら、私の言い方が怖いから辞めるって」
「それは困りますね」
「△△さんが引き留めたらしいんです。シフト調整するから残ってくれって」
シフト担当の方のご苦労が慮られます。
人手不足のなか、どちらも辞めてもらっては困りますし。
「そんなことがあると、お互いちょっと気まずくなっちゃいますね」
「いや、私の方は別に」
「そんなもんですか?」
「向こうは知りませんけど」
そうですね、とあいまいに笑いながらお別れしました。
しかしなぜ突然、部外者の私にこの話をしようと思ったんでしょう?
さっぱり分からなくて、1週間経った今でも戸惑っています。
