FREEplus(フリープラス)です。
石川県金沢市の小さな不動産屋です。

たまに会う幼なじみがいます。
何年も会わなかったり、かと思えば1年に何度も会ったりしながら、なんとなく付き合いが続いています。
会えばすぐに、お互いが子供の頃に戻れます。
幼なじみとは不思議な存在です。

彼は記憶力がいいので、小学生の頃の話を、あたかも3日前の出来事のように話します。
私はそんな事があったのかも曖昧で、そう言ってはいつも呆れられます。
その度、いかにボーっと子供時代を過ごしていたのかと反省します。

彼は生まれ育った町に今でも住んでいて、町を出た同級生の生家を気にしてくれます。
数年前、「雪の重みで実家のガラスが割れているようだ」と彼から連絡をもらいました。
「用事があって近くを通ったから」と言ってましたが、気に掛けていてくれたと知り、嬉しかったのを覚えています。

そんな彼から、これからもこの町で暮らすことにした、と聞きました。
能登半島地震から4ヵ月近く経っても、その影響がまだまだ色濃く残る町に。

液状化でゆがんだままの道路。
「危険」と書かれた赤い紙が貼られた見知った家々。
政府の生活再建支援給付対象からも外れ、義援金の配布も未定。
不満や不足を言い出したらキリが無い状況の中、それでも留まるのを決めたそうです。

でも、地域復興を頑張っていこう!とか、復興の旗印に!といった肩に力が入った感じではなく、悲壮感もなく、淡々と決めた感じも “らしい” と思えます。
粛々と現状を、カッコよく言えば運命を、受け止めることにしたのでしょう。

無理して頑張らない。
環境が整うのを待つ。
なにが大切なことなのかを見失わない。

ほんとうに強いのは市井の人々だ、とどこかの作家が言っていたことを思い出しました。
私ごときが心配するなんて、おこがましかったようです。
それでもたまには頼ってくれてもいいのに、と少し寂しく思ったのは内緒です。