先週から今週にかけて、金沢では珍しく氷点下の気温が続きました。
そんな寒さの中、ちょっとした出来事がありました。

歩いて10分ほどの場所に出掛けた際のことです。
除雪されていない歩道は2人がすれ違う幅しかなく、その路面は凸凹に凍てついていました。
私も含めてほとんどの人が、転ばないようにゆっくり歩いていました。

しばらく歩いていると、後ろからザクッザクッと足音が聞こえてきました。
この凍てついた道をすごい速さで歩いてくる人がいるようです。
あっという間に真後ろに並ばれた気配がしました。

とはいえ、すれ違うのもやっとの狭い道です。
対面から歩いてくる人もいるので、追い抜いてもらうスペースはありません。
仕方なく、少しだけ早めに歩くことにしました。

冷や冷やしながらスピードアップしましたが、後ろの人はぴったりついてきます。
追い詰められた気すらして、もはや恐怖です。
イヤな汗をかきながら必死に歩いていると、前方に除雪されたスペースが見えてきました。
そのスペースに身を寄せると、後ろを歩いていた人はそのまま真っすぐ歩いていきました。

「やっと抜いてもらえた…」
と安堵しながら、その後ろ姿を眺めました。

細身で背の高い男性。
髪が少しだけ白いから、同年代くらいでしょうか。
まるでアスファルトの上を歩いているかのような、どこにも力の入っていない歩き方です。

この凍てついた道をふらつきもせず歩けるなんて、どんな靴を履いているのかと足元を見たら、まさかのスニーカー。
雪国に住んでいたらブーツか長靴くらい持っているはずなのですが、あえてロースニーカーを履いてきたようです。

滑りやすい氷上を歩く鍛錬してるとか?
あの無駄のない歩きは、もしかして忍びの人?
通勤時間帯だけど、忍びの人も通勤するの?

そんなくだらないことを考えながら、帰路につきました。
妄想が捗ったおかげで、寒さを気にせず帰ることができました。
(仮称)忍びの人、ありがとう。