FREEplus(フリープラス)です。
石川県金沢市の小さな不動産屋です。

私の周りには、推し活に熱心な人たちがいます。
皆さん総じてエネルギッシュなのですが、中でも、男性アイドルグループを推している人の熱量には圧倒されます。

「いいですよ、”推し”のいる生活」
「羨ましいですよ、人生楽しそうですもん」
「それならこちら側の世界にぜひ。歓迎しますよ」

布教(勧誘することをこう言うらしい)いただく度に、こんな会話を繰り返してきました。
久しぶりにお会いした際、少し時間があるとのことだったので、この機会に少し深掘りしてみようと思い立ちました。

「正直なところ、”推し”が結婚するのってどういう気持ちなんですか?」
「私は、”推し”に幸せが訪れた!おめでとう!でした」
「そんな感じなんですか。でもそんな風には思えないファンの人も多いんじゃないですか?」
「ま、私が結婚してるからかもしれませんけど、自分たちは恋人がいたり結婚してたりするのに、アイドルは一生独りで、っていうのは違うと思うんですよね」

ファンの鑑です。
そんな彼女に、ちょっと意地悪な質問をしてみました。

「なるほど。ただ下世話な話ですけど、”推し”にはそれなりのお金を使ってきているわけじゃないですか。嫉妬とか色んな感情が湧いてこないんですか?むしろその方が自然な気もしますけど」
「うーん。”推し”が幸せならいいやって思います、私は」
「実際にずっとファンを続けていらっしゃいますしね」
「”推し”に幸せをもらってますから。ファンクラブも継続中です♡」

無償の愛、という言葉の意味が分かったような気さえします。
そろそろ時間になり、別れ際に彼女がこう言いました。

「今度、美味しいお菓子を持ってきます。推し活だと思ってもらってください」
「え、ありがとうございます。楽しみ!」

後日お会いした際、おしゃれな紙袋に入ったお菓子をいただきました。
推し活の一環、とお聞きしていたこともあり、てっきり男性アイドルグループのグッズなんだと思っていた私は、そのシックな包装に拍子抜けしました。

「これも推し活、ですか?」
「はい。ここのお菓子美味しいんです。地元の”推し”です」

アイドル、アニメ、漫画、ゲームだけでなく、お気に入りのお店も”推し”の対象なんですね。
”推し”の世界は、私が考えるよりはるかに深遠なようです。