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子供の頃、寝台列車に乗って東京(上野)に行ったことがあります。
知らない大人たちと同室で、緊張しながら2段ベッドで眠ったあのワクワク感・高揚感は、寝台列車特有のものだった気がします。

現在でも運行している寝台列車は複数ありますが、定期夜行列車として運行しているのは「サンライズ瀬戸」「サンライズ出雲」のみ。
寝台列車の代名詞であったブルートレインが引退したのは、利用不振だけが理由ではなく、運用の難しさがあったようです。

ブルートレインは機関車が牽引していたため、電化・非電化にかかわらず運行できるのが強みでした。
ですが、加減速性能のいい電車が台頭してくると、性能の差が問題になってきました。
加減速性能が違うと列車間隔をあけなければならず、結果として線路容量が減ってしまうからです。
特に都市部の朝夕は通勤・通学ラッシュで輸送需要が高く、輸送力の減少は大きな問題です。
電車のように走ることができず、最高速度が時速110キロ止まりのブルートレインは次第に邪魔者扱いされるようになっていったそうです。

こうした問題の解決策として、寝台電車の夜行運行が再評価されるようになりました。
国鉄の寝台電車は昼夜兼行でしたが、夜行列車として運行することで、朝夕の通勤・通学ラッシュ時を避けられます。
早朝に目的地に到着できるという利点に加えて、寝台などの居住性のよさを追求することで特色も生まれます。
実際、「サンライズ瀬戸」「サンライズ出雲」の人気は高く、チケットは争奪戦だそうです。

寝台列車といえば、アガサ・クリスティーの「オリエント急行の殺人」を思い浮かべます。
国籍も性別も年齢も違う知らない人たちと、同じ列車で夜を過ごすことで、なんとなくなにか起きそうな予感がしてしまう。
この「なにか起きそうな予感」が、夜行列車特有の高揚感の正体なのかもしれません。
もちろん、殺人は起きてほしくないですが。