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石川県金沢市の小さな不動産屋です。

以前テレビで「東大みかん愛好会」というサークルがあることを知りました。
みかんの消費量が全盛期の5分の1に減っており、みかんの消費量を増やすべく活動をしている、との紹介でした。
当時の代表は「サークル活動に専念しすぎて留年を重ねていて卒業が危うい」と笑っていて、「頭のいい人たちはどこか違うな…」と思いながら見ていました。

そんな東京大学には、他にも異彩を放つサークルがあります。
「東大襖(ふすま)クラブ」、来年70年を迎える歴史あるサークルです。
部員は1年間の練習を経たのち、実際にお金をもらって、お客さんの自宅でふすまや障子を張ります。

創部は1954年。
大学近くの職人が「生活の足しになるから」とふすま張りの技術を教えてくれたことが始まりで、現在の部員数は20人ほど。
入部後、先輩学生による講習会や10回以上の実技演習を経て、約1年後にデビューします。

文科Ⅲ類2年の西村美咲さんは「お金も稼げるし、面白そう」と入部したものの、演習は厳しかったそうで「身が引き締まった。だからこそお客さんに信頼してもらえる」と言います。
部長で法学部3年の坂上碩崇(さかじょうひろたか)さんは「手を動かす仕事に興味があったが、実際に張る作業はとにかく難しい」と語ります。

ふすまに合わせて紙を切り、張った後にカッターで微調整。
空気が入らないように、切ったところが汚くならないように……。
それでも油断するとしわがよる。表面に汚れがつく。線がまっすぐにならない。

お客さんは、3千種類のふすま紙から好きな柄を選びます。
中には金や銀の高級な紙もあるため、学生たちは「非常に緊張する」と口を揃えます。

30年ほど前は年200軒以上の依頼があったそうですが、ふすまがある家も少なくなっているせいか、今ではクラブが依頼を受けるのは年100軒ほど。
ただ、例えば市松模様は無限に続くことから、『永遠』『繁栄』を願って注文する依頼者は多く、失くすのはもったいない文化だ、との思いから活動を続けているそうです。

こういう話を聞くと、日本家屋好きとしてなんだか嬉しくなってしまいます。
これからも活動を続けてくれるといいな、と勝手に願っています。