「越えてくる人と越えられない人がいるんです」

ある金融機関の融資部門で働いている女性に、
「結局のところ、融資するしないはどうやって決まるんですか?」
と聞いたことがあります。
その返答が、冒頭の言葉でした。

いろんな人を見てきたであろう彼女が評する「越えてくる人」とは?
その言葉を折々に思い出しては、考えていました。

先日、その答えをSNSで見つけました。
今では有名な女性グループが、まだ10代の少女だった頃の動画です。

ライブが終了したのに、熱狂したファンが2度目のアンコールを叫んで帰ろうとしません。
撤収時間が迫っていて、もうアンコールに答える時間はありません。
緊迫した空気の中、スタッフも含めた全員が1人の少女に視線を向けます。

グループのフロントマンでもあるその少女は、マイクを取ってファンに語りかけます。

「皆さーん!」
「アンコール、ありがとうございます」
「私たちももちろん出たいけれど、今日は時間の関係で出ることができません」

今日のところは気を付けて帰ってね。
そう宥めるしかないよね、と思いながら続きを見ていました。

でもその少女は、こう言葉をつなぎました。

「なので、皆さん……」
「さいたまスーパーアリーナで会いましょう!」

それを聞いたファンは「ウォー!!!」と咆哮し、アンコールは止みました。
バックステージのスタッフ達が安堵した表情を浮かべます。

「今日は本当にありがとうございました!」
最後にメンバー全員で叫んだところで、動画は終わりました。

対応を誤れば、数千人のファンが暴徒化するかもしれない状況下で、次のステージに目を向けさせ、場の雰囲気を瞬時に変えてしまう。
そんな人、どれだけいるのでしょう。

これが彼女の言う「越えてくる人」なのか、と腑に落ちました。
いつか答え合わせができる日が楽しみです。